<研究概要>
 有機化合物は、多種多様な構造をもっており、その分子構造に由来する高誘電率、電気伝導性、蛍光、生理活性のような多彩な物性や 機能を持っています。このような物性や機能をつかさどる有機化合物の創製には、その合理設計とそれを実践する効率的合成法の開発が求めら れています。我々の研究室では、特に有機活性種カチオンラジカルアニオンカルベンビニリデンを多角的に利用することによって、有機化学の新しいパ ラダイムを構築することを目標にかかげ実践しています。 当研究室では、有機化学の反応論と構造論の双方を重視するとともに、有機金属化学的な手法(遷移金属による活性種の準安定化と触媒機能制御)と理論計算を積極的に組み込んだアプローチによって、活性種の反応性を自在に制御した高選択的合成反応の開発と機能性物質の創製に取組んでいます。また、これらの研究を基礎とした機能性パイ共役複素環化合物の合成生体イメージングプローブの開発もテーマとして研究を進めています。

<キーワード>
遷移金属触媒反応,有機合成,分子プローブ,造影剤

令和2年度(2020年度)研究室紹介内容(pdf版)

先端説明2021_ohe

【主な研究テーマ】
・遷移金属錯体を触媒として用いる複素環構築法の開拓
 複素環化合物は医薬品や機能性材料(発光材料や太陽電池素子など),生体材料など様々な分野で活用されています.入手容易な出発物質に遷移金属錯体を作用させ,窒素ー酸素結合や炭素ー炭素結合を切断しながら複素環化合物を合成する手法を開拓しています.
<最近発表した論文>

Divergent Catalytic Approach from Cyclic Oxime Esters to Nitrogen-Containing Heterocycles with Group 9 Metal Catalysts
Takuya Shimbayashi, Gaku Matsushita, Atsushi Nanya, Akira Eguchi, Kazuhiro Okamoto,* and Kouichi Ohe*
ACS Catal., 8, 7773-7780 (2018). DOI: 10.1021/acscatal.8b01646

ACScat2018


・屈曲したアルキン配位子を持つ錯体の創製と反応制御
 直線状のアルキンは金属に配位することで曲がった構造をとります.そのアルキン配位子の特徴を生かしたキラルな錯体の合成やこれらを用いる新しい反応様式の開拓を行なっています.
<最近発表した論文>

Bimetallic Reactivities of Dinuclear Iridium and Rhodium Complexes Generated from Two Types of Alkyne-containing Bisphosphine Ligands
Kohei Sasakura, Kazuhiro Okamoto,* and Kouichi Ohe*

Eur. J. Inorg. Chem., 2020, 1894-1901. DOI: 10.1002/ejic.202000132
Unknown


・刺激応答性分子プローブの創製
 細胞内の酵素活性やpH変化を追跡できる機能性有機色素(分子プローブ)を開発しています.低pH環境にあるがん組織を識別できる分子プローブや酵素活性とpH変化を同時に検出できる分子プローブなどを開発してきました.臨床医と共同研究を通し,医療の現場で活用できる分子プローブの開発を目指しています.
<最近発表した論文>

Substituted meso-Vinyl-BODIPY as Thiol-Selective Fluorogenic Probes for Sensing Unfolded Proteins in the Endoplasmic Reticulum

Huiying Mu, Koji Miki,* Takuya Kubo, Koji Otsuka,
and Kouichi Ohe*
Chem. Commun., in press. DOI: 10.1039/D0CC08160D

Table of contents-Mu-cc-final

An enzyme-triggered turn-on fluorescent probe based on carboxylate-induced detachment of a fluorescence quencher
Masahiro Oe, Koji Miki,* and Kouichi Ohe*
Org. Biomol. Chem., 2020, 18, 8620-8624. DOI: 10.1039/d0ob00899kmetallic
Cover Picture に選ばれました.

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・がんの造影剤の開発
 光を照射すると蛍光や光音響波を発する機能性有機色素を含む高分子自己集合体を開発しています.医学研究科や企業の研究者との共同研究を通し,実用的ながんの造影剤を開発しています.
<最近発表した論文>

pH-Activatable Cyanine Dyes for Selective Tumor Imaging Using Near-infrared Fluorescence and Photoacoustic Modalities
Huiying Mu,
Koji Miki,* Hiroshi Harada, Kouki Tanaka,
Kohei Nogita, and Kouichi Ohe
*
ACS Sens., 2021, 6, 123-129. doi.org/10.1021/acssensors.0c01926

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