私たちは、主に溶液を用いない低温合成法により新しい無機化合物を創出します。環境に優しく安全であるだけでなく、(有機化学のように)合理的に構造を設計できる特長があるため、通常は得られない局所構造や電子状態を創りだすことが可能です。この手法を駆使し新物質を開拓し、高温超伝導発見を大きな目標にしながら磁性体、誘電体、顔料、触媒なども視野に入れた革新的機能を目指しています。
下記のような日程で、学部3回生向けの研究室見学を開催します。
是非ご参加下さい。
以前掲載していた集合場所が間違っていたため修正しました。ご注意ください。
陰山研究室では、博士研究員を募集しています!また、全国の大学から広く大学院生(修士課程)を募集しています!興味のある方は、いつでもお気軽にお問い合わせください。
陰山教授を代表とする新学術領域研究「複合アニオン化合物の創製と新機能」 は、60研究室を超えるオールジャパンのワンチーム体制で、「複合アニオンの科学」を新しい学術分野としての学理を創り出し、世界初の複合アニオン化合物の教科書を出しました。2020年に拠点形成事業(Core-to-Core)に採択され、国際ネットワークの構築を進めています。
新学術の後継として学術変革「超セラミックス」が2022年にスタートしました。また、水素を無機固体を舞台に自在に操ることを目指した特別推進研究「水素イオンセラミックス」も2022年にスタートしました。このほか、触媒、電池材料開発を複数の企業や国プロジェクトのサポートのもと行っています。
世の中を一変させる新物質を創りましょう
基本的に誰でも歓迎します。なぜなら皆さんそれぞれ他の人にない何かを(本人が気づいてなくても)“必ず”持っていて、化学はそれを発揮できる良い舞台ですから。あるきっかけでグンと伸びるその瞬間をみるのが、指導教員として最も楽しい瞬間です。研究者を目指す人はもちろんですが、目指さない人でも研究/化学はおもしろかったとのちに誰かに語れるような経験をして欲しいと願っています。もちろん、固体化学、合成化学、機能化学、理論化学、物性物理に興味のある人はフィットしやすいはずです。研究室に閉じこもるだけでなく、国内外の施設での出張実験の他、民間企業との共同研究も推進しています。研究室には、欧米からの留学生がおり、また、海外から絶え間なく訪問者がいますので、異文化を楽しめます。やる気のある皆さん、新しい学問を創り上げていきましょう。
研究室に興味がある方は、遠慮なく、陰山洋、または、スタッフまでご連絡ください。工業化学科の1、2、3回生はいつでも遊びに来て下さい(希望なら実験も可能!)。他大学より修士課程、博士課程(資格試験は8月と2月)に進学を考えている学生さんも歓迎します。修士課程の時期から論文執筆の指導をゼロからしますので、博士課程に進学した場合、高い確率で学振研究員に採用されています。
このホームページを作成したのは研究室が発足した2010年で、(まわりにきくと)あまり評判が悪くないので変えておりませんが、実は、その間、研究内容や対象は大きく変わっています。”ゲームチェンジャー材料”といえる複合アニオン化合物の研究で、合成法、(光)触媒の開発などで多くの画期的な成果を挙げるなど、世界を牽引しております。低温合成だけでなく、独自の物質観に基づいて、高圧合成、薄膜合成にも取り組み、新たな流れをうむ成果を出しています。最近では、有機合成にも着手するなど、無機化学、固体化学の枠を超えた「物質科学」の研究を行なっています。この点では、世界にも類をみない研究室といえます。また、学生の半分以上は、理論計算や情報理論を自分の研究に積極的に取り入れて研究しています。
研究コンセプト
低温合成による酸化物の設計
これまで酸化物は設計が困難であると考えられてきました。私たちは、低温合成法によって構造を自在にデザインすることを目指しています。
右のムービーに示すように、ありきたりの鉄の酸化物SrFeO3から酸素(赤丸)を大量に取除くことによりSrFeO2を得ることに私たちは2007年に成功しました。この発見は、鉄(青丸)は平らな構造をとらないという化学の常識を覆しました。このような単純な構造、組成の新物質が21世紀になって発見されたこと自体が驚きともいえますが、逆にこの手法の大いなる可能性を示すものであるといえます。
2012年には、積層コンデンサーとして電子機器に広く使われているチタン酸バリウムBaTiO3が、大量に水素を取り込むことを発見しました。この水素は負の電荷をもつヒドリド(H–)として存在します。上図に示すように、水素(白丸)は格子内を動き回ることができるため、新しいイオン伝導体としての可能性に注目しています。